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東京高等裁判所 平成11年(行ケ)124号 判決

原告

ポロ・ビーシーエス株式会社

代表者代表取締役

【A】

訴訟代理人弁護士

北方貞男

弁理士

【B】

【C】

【D】

【E】

被告

X

代表者代表取締役

【F】

訴訟代理人弁護士

飯田秀郷

栗宇一樹

和田聖仁

早稲本和徳

久保田伸

秋野卓生

七字賢彦

主文

特許庁が平成10年審判第30620号事件について平成11年3月23日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

第1原告の求めた裁判

主文第1項同旨の判決。

第2事案の概要

1  特許庁における手続の経緯

原告は、登録第1434359号商標(昭和47年6月13日登録出願、昭和55年9月29日設定登録、平成2年9月20日存続期間の更新登録。本件商標)の商標権者である。本件商標は「POLO」の欧文字を横書きして成り、旧第17類「ネクタイ、その他本類に属する商品、但し、ポロシャツ及びその類似商品ならびにコートを除く」を指定商品とする。

被告は、平成10年6月19日、原告を被請求人として、商標法50条1項の規定により、「本件商標の指定商品中「寝具類(寝台を除く)」について、その登録を取り消す」との審決を求める審判請求をし(平成10年7月15日予告登録)、平成10年審判第30620号事件として審理されたところ、平成11年3月23日、「商標法第50条の規定により、登録第1434359号商標の指定商品中「寝具類(寝台を除く)」についてはその登録は、取り消す。」との審決があり、その謄本は同年4月7日原告に送達された。

2  審決の理由の要点

(1)  被告(請求人)は、審判請求の理由を次のように述べた。

被告が調査した結果、本件商標は商標権者により、少なくとも過去3年以内に日本国内でその指定商品には使用されていないことが判明した。

したがって、本件商標の指定商品中「寝具類(寝台を除く)」についての登録は、取り消されるべきである。

(2)  原告(被請求人)は要旨次のように述べ、証拠方法として審判乙第1号証ないし審判乙第4号証を提出した。

(2)-1 審判乙第1号証及び審判乙第2号証に示すように、原告の関連会社である公冠販売株式会社(当時の本件商標権者)は、米国のポロラルフローレン会社に、本件商標及び登録第1447449号商標の使用を許諾する契約を締結しており、該契約は現在も有効に存在している(なお、この契約書には、守秘義務のある内容が含まれているので、契約事実を確認できる個所のみを抜粋している。)。

このポロラルフローレン会社は、少なくとも本件商標の商標権が公冠販売株式会社から原告に譲渡される前(平成10年2月24日付け譲渡による商標権移転登録申請手続前)まで、上記通常使用権に基づいて本件商標を「寝具」についても使用している。

具体的には、審判乙第3号証及び審判乙第4号証に示す「毛布」は、ポロラルフローレン会社が製造・販売していたもので、当該商品には、図形と共に本件商標「POLO」が、非常に目立つように太字で刺繍されている。

この使用形態は、「POLO」だけを分離抽出して把握可能であり、社会通念上、本件商標と同一性ある商標の使用にほかならない。

(2)-2 よって、本件商標は、本件取消審判の請求前3年以内に、日本国内において、通常使用権者が、その請求に係る指定商品「寝具」のうち「毛布」について使用していたことは明白であり、本件は商標法50条1項の規定に該当しない。

(3)  審決の判断

(3)-1 原告の答弁及び提出に係る審判乙第1号証ないし審判乙第4号証を総合勘案すれば、1987年1月1日に公冠販売株式会社とポロラルフローレン会社との間で本件商標に係るライセンス契約がなされたこと(審判乙第1号証及び審判乙第2号証)、原告が「毛布」と主張するものに表示された図形中に「POLO」の文字が表されていること(審判乙第3号証及び審判乙第4号証)が認められる。

しかしながら、審判乙各号証によっては、本件商標を使用しているとする商品が「毛布」であることを確認できないうえに、原告は、本件商標の使用時期、使用場所及び使用者について、これを具体的に証明する証左を提出していない。

(3)-2 してみれば、原告は、本件請求に係る指定商品について、本件請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を使用していることを証明していないといわざるを得ず、また、本件商標を使用していないことについての正当な理由があることの立証もしていない。

したがって、本件商標の登録は、指定商品中「寝具類」について、商標法50条1項の規定により、その登録を取り消すべきである。

第3原告主張の審決取消事由

原告が提出した甲号各証等によれば、原告を含む本件商標権者ないし本件商標の通常使用権者が、本件取消審判請求の予告登録前3年以内に、本件商標をその指定商品中「寝具類(寝台を除く)」に属する商品「毛布」に使用していた事実は明らかであり、これを認めずに本件審判請求を認容した審決は誤りである。

第4審決取消事由に対する被告の反論

原告主張の事実は否認する。

第5当裁判所の判断

1  原告主張の本件商標の使用の事実関係についてみるに、以下に示す書証のほか、甲第18号証及び証人高井澄雄の証言並びに弁論の全趣旨によれば、以下の事実を認めることができる。

(1)  公冠販売株式会社(旧商号・丸永衣料株式会社)は、昭和58年12月19日登録により本件商標権を【G】から譲り受けたが、その後原告に本件商標権を譲渡し、平成10年4月27日その旨登録されたこと(甲第3号証)、公冠販売株式会社は、昭和62(1987)年1月1日、アメリカ合衆国のニューヨーク市に本店を有するポロ/ローレン カンパニー(日本語の契約書上「ポロラルフローレン会社」と表記)に対し、ネクタイとマフラーを除く旧商品区分第17類の商品について日本国内における本件商標の通常使用権を許諾したが(甲第9号証の1、2)、原告は、遅くとも平成10年2月26日までに本件商標権を譲り受けたのに伴い(甲第3号証)、上記契約の地位を承継したこと、

(2)  市田株式会社は、ポロ/ローレン カンパニーから上記と同内容の通常使用権の許諾を得た株式会社西武百貨店(その後、株式会社西武百貨店の100%出資会社であるポロ・ラルフローレン・ジャパン株式会社が本件商標の株式会社西武百貨店の地位を承継した。)から、寝装品(毛布、枕、寝室カーテンなどのベッド回り品。ホーム・ファニシング)につき、本件商標のサブライセンシーとして通常使用権の許諾を得たこと(甲10号証の1、2、第11、第13、第14号証)、

(3) 森忠毛織株式会社は純毛毛布製造の専門メーカーであるが、市田株式会社に納入する製品の製造を株式会社オカノインターナショナル経由で受注していたが、「603140」との品番に係る毛布も製造していたこと、この品番の毛布には「POLO」の表示があるマルチクレストの飾りが刺繍してあるところ、この毛布製品は紙箱入りで、「RALPH LAUREN ブランケット 組成:毛100%サイズ:140×200cm 市田株式会社 製造」との表示のあるタグが入っており、箱の蓋側面に「5107-603140-29」との表示があること(甲第4号証、第7号証の1、2、第8号証)、

(4)  上記毛布は、縁(ヘリ)がタータントリムになっており(甲第4号証左側の写真)、平成8年にポロ/ローレン カンパニーの20周年記念商品として製造したものであること(甲第18号証)、

(5)  森忠毛織株式会社の平成8年1月1日から同年12月末日までの株式会社オカノインターナショナルに対する売上帳には、この製品が同年6月1日に2枚、同月7日に4枚、展示会用の見本及びポロ/ローレン カンパニーの承認を受けるためのサンプルとして売り上げられた旨の記載があり、その後、同年8月から12月までに合計800枚の同製品の売上げ記載があること(甲第5号証の1、2)。

2  以上認定の各事実によれば、本件商標は、少なくとも本件審判請求の予告登録(平成10年7月15日)前3年以内である平成8年6月12月までの間に「寝具類(寝台を除く)」に属する商品である「毛布」について通常使用権者によって使用されていたことが明らかである。

なお、被告の準備書面中には、上記認定の毛布に付された商標は本件商標と異なるから本件商標の使用に当たらないとする部分があるが、上記認定のとおり、毛布に刺繍された標章は「POLO」の表示がマルチクレストに組み込まれているものの、「POLO」の文字自体は他の文字と組み合わせることなく明確に表示されているのであって(甲第4号証、第7号証の2)、社会通念上本件商標と同一性のある商標の使用ということができる。

したがって、「原告は、本件請求に係る指定商品について、本件請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を使用していることを証明していない」とした審決の認定は誤りであり、これを前提にして本件審判請求を認容した審決は取り消されるべきである。

第6結論

以上のとおり、原告主張の審決取消事由は理由があるので、原告の請求は認容すべきである。

(裁判長裁判官 永井紀昭 裁判官 塩月秀平 裁判官 市川正巳)

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